本のススメ②

本の紹介第二弾。

 

今回は、人との関わりを通して成長していく物語を紹介したいと思います。

 

一冊めは、住野よるさんの、君の膵臓をたべたい。

 

改めて紹介されなくても...って思うかもしれません笑

 

人と関わることを厭っている男の子が、余命わずかな女の子、桜良と関わる中で少しずつ変化していく物語。

 

男の子の変化が本当にいい。

やっぱり人を成長させるのは人なんですよね。

 

以下少しネタバレになる?のかな。

 

私がこの本の中で一番いいと思うところは桜良の死後、男の子が恭子さん(桜良の親友)に友達になってほしいというところ。

 

桜良を大切に思うあまり、男の子に嫌悪感をむき出しにしていた恭子さん。

 

言わば自分を天敵だと思っている人に対して、友達になってほしいと言えるほどまでに男の子は成長するんです。

 

この場面は胸が震えましたね。

 

ちなみに君の膵臓を食べたいは映画化もされました。

 

映画も見たんですが、そちらの方もめっちゃよかった!

 

本でも映画でも、男の子を救って一歩踏み出させるのは桜良なんですが、そこに至るまでの流れがちょっと違うんで、本を読んで内容を知っている人にもおすすめです。

 

それではこの辺で次の本の紹介へ。

 

二冊めは、豊島ミホさんの、エバーグリーン。

 

この本の主人公は二人いて、それぞれの視点で交互に話が進んでいくんですが、私は女の子の方の主人公アヤコの方に共感しました。

 

あらすじはざっくり言ってしまうと、中学の卒業式の日に10年後にまた会おうと約束した主人公二人が、それぞれの人生を歩む中で色々ありながらも10年ぶりに再会する、というものです。

 

この本で大きく描かれているのは、それぞれの人生で色々ありながらも、という部分です。

 

だからアヤコを成長させるのはもう一人の主人公、シン君ではない。むしろアヤコは、いつまでも憧れのシン君にとらわれ続けて前に踏み出せないでいました。

 

そんなアヤコを救ったのは、偶然知り合ったスーパーの店員の伊知地くん。

 

でも実際に、伊地知くんの隣におさまった私はというと、シン君のことを忘れていない。心臓のふちまでぎゅうぎゅうにしてシン君の一挙一動を見ていた、あの時の小さな心臓が、今の私の大きな心臓にすっぽりと包まれている気がする。

シン君との記憶をひとつの万華鏡とするならば、その中に入った小さなビーズのひとつぶさえ、私は失っていない。ほんとうに、なんにもなくしてなんかいないのだ。

 

これは決してアヤコがシン君を引きずっているわけではありません。アヤコはシン君とのことを大切な思い出にして、伊地知くんに向き合っているのです。

無理に忘れようとするのは、言ってみればそれだけ囚われているから。

アヤコは伊地知くんに出会って、過去を思い出に変えて、本当の意味で過去と決別することができたのです。

 

もうひとつ好きな場面があります。

 

泣きたくなる。私たちの間に、どうどうと流れ落ちた時間があるのがわかる。その流れは天の川よりずっと大きい、この空だっていっぱいに覆うことができるだろう。

(中略)ただ、それを手に入れても、やっぱり、この道の上であったことが消えるわけじゃないのだ。ただ懐かしく思うようになんかならない。思い出す頻度が減っても、あの頃のことと今日のことは、三十年先にも胸をきりきりと痛ませるだろう、はちきれるほど満たすだろう。

制服姿の私は、あぜ道を走っていく緑の自転車をまぶしく見つめている。永遠に、だ。そんな言葉を軽々しく使いたくはないけれど、本当に他に言いようがない。

 

これはアヤコとシン君が再会したシーン。描写が本当に綺麗。

 

そうですよね〜時間の流れほど大きなものはない。過去を思い出して切なくなるっていうのは、きっと一生ついて回ること。

 

でも繰り返しますが、アヤコはもう過去には囚われてはいない。伊地知くんと出会ってアヤコは、過去を大切にしながらも前に進めるようになった。

 

みなさんの中にも過去に囚われている人がいるかもしれません。

でも今隣にいる人を、どうせ過去のあの人にはかなわないと言って、自分から締め出してしまうのはもったいないです。

だってわからないじゃないですか。今隣にいる人は自分を前に進ませてくれる人かもしれないし、そういう人にこれから出会うかもしれない。

過去に囚われて、現在も未来も諦めるのはもったいない。

この本が私に教えてくれたことです。