本のススメ①

おすすめの本の紹介もしていこうと思います。

 

第一弾は最近読んだ2冊。

 

1冊めは、角田光代さんが書いた『紙の月』。

 

不倫に溺れた女が、不倫相手をつなぎとめるために横領をしてしまう話。

 

映画化もされたので知っている人も多いと思います。

 

男のために横領だなんて自分とは別世界の話だ、と思う人も多いと思いますが、主人公の女の心理描写があまりにもリアルなので、読み進めていくうちに他人事だとは思えなくなります笑

 

名刺に記された自分の名前は、垣本梨花のほんの一部だと、梨花はずっと感じていた。その一部のまま年齢を重ねて、いつしか自分の一部分が、すっかり自分自身になってしまうのではないかと、漠然とした恐怖を感じてもいた。

 

この感覚、なんとなくわかりませんか?

毎日毎日なんとなく生きて、何も成し遂げないまま終わってしまうのではないかという恐怖。

私はなんとなくわかります。

 

もし光太と会っていなかったら、こんなことにはなっていなかったろうかと梨花は川を見つめて考える。(中略)もし編集プロダクションに勤めていたら。もし子どもができていたら。(中略)けれど、どの仮定を進んでも自分が今こうしているような気がしてならない。

 

私自身も、もしあの時ああしていたら...と考えてしまうことがよくあるので、この気持ちはよくわかります。

でも、そうなんですよね。あの時ああしていたら...と考えても過去には戻れないし、今も変わらない。

あの時選択した道を、今歩いている。

何度あの時に戻っても、きっと同じ選択をする。

 

色々なことを考えさせられる本です。

 

2冊めも、同じく角田光代さんの『対岸の彼女』。

 

多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。(by裏表紙)

 

私が一番好きな部分はここです。

 

なぜ、私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。

 

そう、人間関係がめんどくさくなることも、人と関わりたくないと思うこともある。

でも、だからと言って一人の世界に閉じこもっても解決にはならない。

傷ついても傷ついても、私たちはまた誰かと出会うために生きている。

人との関わりの中で傷ついた心は、人との関わりの中で癒されていくんだと思います。

 

人間関係で疲れた時に読んで欲しい本です。

 

本のススメ第一弾は以上です。

ここまで読んでくださりありがとうございました!