本のススメ③

今回紹介するのは外国文学です。


あまり外国文学は読まないんですが、久しぶりに読んでみました😃


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モーパッサンの、女の一生


本の後ろに書かれているあらすじはこうです。


修道院で教育を受けた清純な貴族の娘ジャンヌは、幸福と希望に胸を躍らせて結婚生活に入る。しかし彼女の一生は、夫の獣性に踏みにじられ、裏切られ、さらに最愛の息子にまで裏切られる悲惨な苦闘の道のりであった。(以下省略)


物語の流れは、このあらすじの通りです。


以下、私がこの物語を読んで感じたことを書いていきます。


親の愛情をたっぷりと受け、汚いものなど知らずに育ったジャンヌは夢見がちです。

結婚する前はそれでもよかった。恋愛に憧れ、結婚に憧れ、希望いっぱいに生きていけた。


けれど結婚生活は、彼女の望んだ通りではありませんでした。夫ジュリアンは極端な吝嗇家で、気性も荒く、家政婦のロザリと関係を持ってしまう。

ジャンヌとロザリは小さい時から一緒だったので姉妹のような関係でした。

ロザリは子どもを産みますが、ジュリアンは父だと名乗り出るようなことはしません。それどころか、ジャンヌがロザリの子どもを里子に出すのはどうかと提案すると、そんな金を家から出したくないと拒否し、ロザリを家から追い出せと言います。


本当に勝手な男ですよね〜この辺は読んでてムカムカしました笑


まぁこの後ジャンヌはジュリアンとロザリの関係を知ってしまうんですが...子どもがジュリアンの子どもだと言うことも...


これにより、ロザリはジャンヌの家を追われることになります。


そしてジャンヌとジュリアンの間にも子どもが生まれます。

ジャンヌは今度は、その子どもとの未来について夢を見るようになります。それゆえ極端に甘やかして子どもを育てるようになります。


けれど子どもとの生活も理想通りにはいかなかった。子どもは駆け落ちして家を出て行き、お金の無心のためだけにジャンヌに手紙を送ってくるようになります。


結婚前は結婚について、子どもが生まれてからはその子との未来について過剰に夢を見ていた、夢見がちなジャンヌ。

けれど夢見ていた未来、様々な可能性があった未来が現実を迎え、自分の想像と異なると過剰に夢を見ていた分、大きく失望してしまうのです。

そして過去や宗教を拠り所とするようになるのです。結婚生活をめちゃくちゃにしたジュリアンのことさえ、彼が死んでしまった後は懐かしむのです。彼と過ごした日々を懐かしみ悲しみに暮れるのです。


けれど自分の想像通りではなかったからと言って、現実が悪いものだとは限りません。このことに最後ジャンヌは気づいたのだと思います。


物語の終盤、ジャンヌは思いがけずロザリと再会します。ロザリは、子どもに裏切られボロボロの生活を送っていたジャンヌの世話をします。

そして物語の最後の最後に、ジャンヌは息子の子ども、つまり自分の孫と対面します。


「世の中って、ねえ、人が思うほどいいものでも悪いものでもありませんね」


これは物語の最後の一文、そしてロザリの言葉です。

ジャンヌがこの言葉に対してどう答えたかはわかりません。けれど同意したのではないでしょうか。


結婚生活も、子どもとの生活も全く思い通りにいかなかったジャンヌの一生。けれど姉妹のように育ったロザリと再会し、孫との対面も果たした。

そう、例え自分の想像と違っていても、人生がそう悪いものだとは限らないのです。


ジャンヌの一生は私たちにも置き換えられるかもしれないですね。

過去に思い描いてた未来と、現実が異なるからと言って絶望するのは早いです。

むしろ思い通りにいかないということを楽しむくらいでないと。


女の一生は、そんなことを私に教えてくれました。


この物語にはジャンヌの他にも、少しいびつな人たちがたくさん出てきます。

幼い時から愛情を受けないで育ってきたリゾン叔母、異常なほどの信仰心を持つトルビヤック神父...などなど。


少しいびつな人たち、と言いましたが、よく考えたらいびつでない人なんてこの世にはいないですよね。みんな少しずついびつで、弱いところを持っている。


ジャンヌ以外の、少しいびつな登場人物に注目して読むのも面白いかもしれないです😃